クニちゃん
日本酒も「鏡開き」するって、ホントですか? 「鏡開き」するってお餅だけじゃないの?


酒仙人
今日はめでたい席などで飲まれる日本酒として、樽酒をご紹介するぞよ。

樽酒とは、文字通り、樽で貯蔵された日本酒を指すんじゃ。一年の健康と発展を祝って、お正月に鏡餅を備えて、11日頃に割って食べるという「鏡開き」は、家庭や会社などでも一般的じゃな。「鏡」は円満を、「開く」は末広がりを意味しておって、めでたい席にぴったりの行事なんじゃ。
また、酒樽の蓋を開く行事も「鏡開き」と呼ばれておるぞ。酒樽の蓋を割って、参列者でお酒を酌み交わし、祈願の成就を願うことが習慣じゃ。つまり、酒樽の鏡開きは正月だけじゃのぅて、結婚式や竣工式などのめでたい席でも行われるんじゃよ。

樽酒の誕生は江戸時代。それ以前は日本酒は壺などで保管されておったが、江戸時代に木製の樽が開発され、新たな保管用容器として使用され始めたんじゃ。

当時は現在の兵庫県神戸市や西宮市に当たる灘地方で日本酒造りが盛んになっておった。この灘の酒を、吉野杉の酒樽に詰めて、菱垣廻船や樽廻船という船に積んで江戸に運んでおったんじゃよ。江戸に着くまでの数日間で、ほどよい杉の香りが日本酒に移り、この香気が江戸っ子にもてはやされたという話は有名じゃな。
ちなみに、このことから良質な日本酒が灘から江戸に下る「下り酒」という言葉が誕生したんじゃ。さらに、価値が低いことを「下らない」という言葉の語源にもなっておる。

酒樽は、明治時代に扱いやすく安価な「びん」の普及とともに減少していったが、現在でも気軽に樽酒を楽めるんじゃ! 瓶に詰められた樽酒はよく売られておる。当時の江戸っ子同様に、樽酒特有の杉の木の香りを好む人は現代も多いからのぉ〜。
当時は香りの強弱が一定ではなかったんじゃが、現在は、程よく香りをつける程度に樽で貯蔵され、ベストな状態で瓶に詰めて販売されておる! 心地よい杉の香りがする樽酒は、実においしいのぉ! 江戸時代に思いを馳せながら樽酒を嗜んでみてはどうじゃ?

◆参考文献
『日本酒の基』 著:日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)
WEB版 菊正宗 樽酒読本 http://www.kikumasamune.co.jp/products/brand/taru/book/story/index.html