​日本酒のソムリエ・唎酒師 ~唎酒師のお仕事~ -日本酒 知る・学ぶ-


「唎酒師」をご存知ですか?日本酒をお客様のご要望、お好みに応じて的確、適切な提案、提供を行なう。そんな日本酒の提供・販売のプロフェッショナルが「唎酒師」です。唎酒師は言わば‘日本酒のソムリエ’。そんな唎酒師のお仕事をご紹介します。「日本酒に興味があるけどよくわからない」、「日本酒をもっと楽しみたい」、そんな時は、唎酒師にお声掛けください!

日本酒選びの良きアドバイザー

日本酒をどのように選んでいますか?普段、日本酒をあまり飲まないビギナーの方であれば、たとえば「この名前、聞いたことある!」とか、「俺の出身県だから」、「〇〇県の酒って旨いんでしょ」。あるいは、お店のメニューやPOPを見て、目立っているものとか・・・。もちろん、そのような選び方が間違っているわけではありませんが、これらは、日本酒の味わいにはあまり関係無い選び方です。日本酒は飲むもの、どうせだったら本当に美味しいものを選びたいものです。

日本酒について、消費者からよく次のようなことを聞きます。

・ラベルに書いてある言葉の意味がよくわからない・・・

・いろんな種類があるけど、どう飲み分けたらいいの?

・どんな料理と一緒に飲んだら美味しいの?

などなど、ご意見は尽きませんが、要するに知らない人には分かりにくいのが日本酒なのです。たとえば、知らない人にとってはワインだって一緒ですが、ワインの場合は「ソムリエ」がこれらの案内、あるいはお客様のご要望、お好みに応じて提案、提供をしてくれます。

そう、日本酒に関して、この役割を担うのが「唎酒師」です。日本酒のソムリエ・唎酒師は、お客様のご要望やお好みに応じて適切な日本酒を的確な飲み方や酒器、一緒に召し上がっていただくと美味しい料理などをご提案させていただく良きアドバイザーです。

唎酒師の能力と資質

唎酒師は、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定、NPO法人FBO(FBO)が公認する呼称資格です。唎酒師の認定制度は1991年にスタートし、現在までに約3万名の唎酒師が日本国内はもちろんのこと世界各国で誕生しています。

唎酒師の認定を受けるためには、講習会(あるいはそれに準ずるカリキュラム)を受講後、試験を受け、SSIが定める基準に達した方のみがその認定を受けることができます。また、唎酒師はお客様に対して日々の研鑽(情報収集、お客様への提案能力向上)を要するため、公認団体であるFBOに加盟し学んでいます。

主に飲食サービス業、酒類・飲食小売店、卸業に従事する方々が唎酒師の認定を受け、活躍しておりますが、最近では一般消費者の方々がよりいっそう日本酒を楽しむために挑戦するケースが増えてきています。また、アナウンサーやタレントの方々にも唎酒師は多く、様々な媒体を通じて日本酒の魅力、楽しみ方を提案されています。

さて、唎酒師に問われる能力と資質は何も日本酒のことばかりではありません。唎酒師は日本酒のアドバイザーですが、それ故にまずは以下のようなサービスマンとしての能力、資質が問われます。

・「もてなしの」の心得

・食品、飲料全般の基礎知識

・食品、飲料の歴史、文化

・テイスティング能力

・マネジメント能力

・セールスプロモーション立案、実施能力

さらに、唎酒師として日本酒の原料や製造方法を理解していること、日本酒に表示されている語句の意味を理解し説明ができること、日本酒の歴史・文化、テイスティングによる評価とそこから導き出される提供方法、サービス方法等に至るまで、いかにお客様の視点に立って適切かつ的確な日本酒の提案ができるかを問います。無論、これらは、講習会はもちろんのこと専用テキストやオリジナル教材を使って勉強をしていただきますが、その合格率はおおよそ75%です。

唎酒師に聞いてみよう

そうは言ってもビギナーにとって、飲食店での日本酒の注文、酒販店で何を選ぶべきかはやっかいなもの。では、実際に唎酒師にどのように聞けば良いのか、事例をご紹介しましょう。

■飲食店で

業態が「和」であればある程、日本酒を飲みたい雰囲気になるものです。そんな時は唎酒師に次のようにアドバイスを求めてください。

(1)お薦めは何ですか?


最も簡単にアドバイスを求めるなら唎酒師にお薦めを聞いてください。その際に「冷たいのがお好きですか?お燗がお好きですか?」や「フルーティーなタイプとコクがありどっしりとしたタイプではどちらがお好みですか?」、さらには、「今日は何をお召し上がりになりますか?」などといった質問をさせていただくと思いますが、全てはお客様のお好みやいかに美味しく召し上がっていただくかを考えるための質問ですので、思ったことを全部言ってしまうのが、好みのお酒と出会うポイントです。

(2)〇〇〇と合う日本酒をお願いします!


バーのような業態で無い限り、飲食店での主役はやはり料理です。料理とお酒を美味しく召し上がっていただくには双方のバランスが重要。料理を決めたらすかさず唎酒師に料理に合う日本酒を頼んでください。きっと、料理の味わいを最大限に引き立たせる日本酒を提案してくれます。

(3)お燗で飲みたいんだけど!


お燗は日本酒の醍醐味です。温めて飲むお酒は実は意外に少なく、一般的には日本酒と焼酎ぐらい。日本酒は温めることにより旨みを増し、ふっくらした香りも際立ちます。しかし、たんに温めれば良いというものでは無く、そのお酒お酒に合った適温やその味わいを引き立たせる酒器が存在します。それだけに唎酒師は、お燗についてもしっかり勉強しています。お客様のお好みのお酒を最も美味しい温度で提供してくれます。

■小売店で

酒屋に日本酒を買いに行くのは、自宅等での「家飲み用」か「贈答用」が多いのでは無いでしょうか?そんな時は唎酒師に次のようにアドバイスを求めてください。

(1)今晩〇〇〇食べるんだけど?

ご自宅でのお食事メニューをズバリ、お教えください。お酒に対するお好みなどをお伺いしたうえでそのお食事と相性が良い日本酒を提案します。また、どのように飲んだら最も美味しく召し上がっていただけるのか等についてもアドバイスしてくれるでしょう。

(2)こんなパーティーに持っていきたいんだけど?


日本酒は何も料理との相性だけを考えて選ぶものではありません。お正月の集まり、誕生パーティー、花見などなど、季節や集まる方々の属性・お好みなど飲まれるシーンに適切な日本酒があります。唎酒師はそのようなシーンを踏まえた提案にも長けてますので適切な1本を提案してくれるでしょう。

(3)こんな人に贈りたいんだけど?


贈答品はとにかく気を使います。そんな時にも唎酒師に、相手の方の性別、年齢、お好みなど知っていることを全てお伝えください。唎酒師はそこからお相手にお喜びいただけるであろう日本酒を推察し適切な1本を提案してくれるでしょう。

以上は、ほんの一例ですが、唎酒師はその名前とは異なり、目隠ししてお酒の名前を当てる人ではありません。常に消費者の視点に立ち、お客様が最も望まれるであろう1本、あるいは美味しく召し上がっていただく方法を提案させていただく日本酒の販売・提供のプロフェッショナルです。

唎酒師を目指すには

ここまでのとおり、唎酒師はたんに日本酒のことを知っている、味で名前を当てられるというような人では無く、その日本酒に適した美味しい飲み方、あるいは、いかに料理を美味しく召し上がっていただくか、さらにはそれらの楽しさも含めて、真の日本酒の魅力を消費者にお伝えする役割を担っています。また、それは常にお客様の視点に立った提案でなければならないため、時には日本酒以外のお酒をお薦めする場合もあります。

前記のとおり、最近では一般消費者が唎酒師に挑戦し、見事、合格されるケースも多くなってきましたが、日本酒愛好家にとっても自身の日本酒ライフをより充実していただく、あるいは周りの方々に日本酒で幸せを提供するといったことに役立てているようです。

昨今、世界各国への輸出が増え、世界中で評価されつつある日本酒ですが日本国内における消費量は減少の一途を辿ります。「おもてなし」が世界より評価される日本。我が国の伝統的酒類であるこの日本酒、おもてなし文化の一端を担っているとも言えるこの日本酒を適切な形で未来へ伝承するためにも、今、唎酒師の力が求められています。

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<掲載日>2014年4月9日